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日本人の心に生きている風物詩シリーズ・河合商会よ永久に。


10月17日

非常に悲しいニュースが飛び込んできました。。。。

模型屋の定番アイテムとして私が小学校の頃からず〜とその地位を不動の物にしていた「箱庭シリーズ」を販売していた河合商会が破産・倒産してしまいました。


河合2
    

つい先週末に千葉の幕張メッセで開催されていた全日本ホビーショーでもちゃんとブースを出しており老舗模型メーカーとしての元気な様子をみせてくれていたというのに。。。

思えば河合の「日本人の心に生きている風物詩シリーズ」は私のジオラマの原点でした。

小学校に上がったばかりの頃にはすでにプラモデルの虜になっていた私ですが、その頃に生まれて初めて作ったジオラマはこのシリーズの「 No.7の船宿」でした。


これを選んだのは高低差のある地面構成と水辺のある風景。

http://www.kawaihobby.co.jp/fuubutusi/index.htm




そう、前回まで紹介していたあの石橋の風景と何か通じるものを感じるでしょう。

たしか、生まれて初めてレベルカラーで塗装したのも、河合商会のこの商品だったと記憶します。
すでに35年程の前の記憶ですが、作っていた時のワクワク感はいまだに忘れません。

船宿
     

(この写真は河合商会のHPのものです)

次に作ったのが同シリーズの「団子屋」でした。小さな団子のパーツを白とピンクで塗ってね。
それはそれは本当に楽しかったなぁ。

そしてとっても斬新なシリーズとしてその後に新発売された「箱庭シリーズ」 !!!!!

実際に芝生のタネをまいて、ジオラマの中で植物を育てるんですよ!



なんて大胆且つ子供目線の発想。

僕が作ったのは田舎の駅。
タネを撒いて、アイロン用の水吹きで湿気を与えて・・・・芽が出た時には本当に嬉しかった。
でも、結局上手く芝生が育たなかったなぁ。。。。


温泉旅館、東屋、五重塔、農家、居酒屋、金魚売り・・・・

日本人の心の風景をプラモデル化した唯一の模型メーカー。

残念ながら新製品はここ十数年は出してはいませんでした。3年前のホビーショーで「新製品開発中」という文字の下に、なんと銭湯の写真がアップされていました。私は興奮して「期待しています!」と営業の方に熱く語ったのでした。
しかしその後のホビーショーでそれを見る事はありませんでした。その事を河合商会のスタッフに問いただすと
「・・・あ〜あ、そんな話もありましたね」と苦笑いされました(泣)。
やはりこのままではダメだと何かやろうとする若手社員と、その情熱に逆らうように悪化してゆく経済事情があったんでしょうね。


模型屋の棚にあるとつい手に取ってみてみたくなるアイテム。
実際に僕のストック棚にはいくつかの情景シリーズが待機しています。。。。


かつて、LSが倒産した時に、人気商品だった 1/32のノスタルジックカーシリーズはアリイ(現マイクロエース)が金型を引き取って販売してくれました。このシリーズもどこかのメーカーに救済して欲しいです。

この商品は決して絶滅させてはいけません。

日本人の心の風景がこの世の中から次第に消えてゆく中、この河合のプラモデルだけはいつでも模型店の棚にあり続けて欲しいと強く熱望したいと思います。


河合商会よ永遠に!



河合



(写真は10月18日の模型店の棚の様子です。やはり童友社の城のプラモデルといっしょにある光景は素敵だなぁ。)


※追記:マイクロエースが金型を引き継いで、販売継続が決まりました。良かったよかった。。。。











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この記事へのコメント:

MACK : 2012/10/19 (金) 01:04:09

残念ですね。
童友社さんが、どう判断するか、、ですかね。
ニチモは大丈夫でしょうか、、。

MASAKI : 2012/10/19 (金) 13:06:30

懐かしいだけに残念。

昔このシリーズ買いましたよ!
芝生が生えるやつ。
芝生が枯れるのと埃をかぶるので汚くなってしまった記憶があります。

城のプラモなんかも作ったなぁ。

最近は全く買わなくなっちゃいましたけどね。
在庫あるうちに買っておこうかな・・・
倒産する前に買ってあげろって話でしょうけど。

チアキ・バチスタ!! : 2012/10/19 (金) 22:51:42

アタクシは初めてのプラモデルはカーダッチでした。
あとはもっぱらスーパーカーの走るやつです。
この箱庭シリーズの’農家’は学校で作りました。
廻りは戦闘機やら戦車やらなのに一人だけしぶい選択してました。(藁)
芝がどうのという以前にワラがちっともくっついてくれなかったのを覚えてます。
大人になってからリベンジを...と考えもしましたが未だに。

逗逗 : 2012/10/20 (土) 00:01:58

このニュースが報じられたときはホントにショックでした。

小学校のときからよく買いましたが、ガンプラや車モデルとは違う魅力がありました。

今思えばまさにジオラマの一歩ですね。

先日もタムタムで小学生の女の子が茶屋を買っていくのを見かけました。

今日もプラモ屋のおばちゃんとお話したら、女の子が買っていくもの第1位だそうで、とても残念がっていました。
(ほかに女の子が買える様なものがあるのかとも思いましたがw)

昨年「田舎の駅」をつくりましたがこのシリーズって本気で作るとかなり面白いんですよね。

それだけにほんとうに残念でなりません。

別のプラモ屋でうかがいましたが、先日のホビーショーで思ってた以上に受注が取れなかったのが原因で、翌日の日には弁護士を呼んでいたとか。。。

いずれにせよ、金型の行方と童友社、有井の動きが気になります。。。復刻を願って。。。。

ツカサ : 2012/10/20 (土) 00:16:56

また一つ、昭和の灯火が消えました・・・
寂しいなぁ。

情景師・アラーキー : 2012/10/20 (土) 07:26:08

●→MACKさん

やはり期待は童友社さんにですかね。
おそらく金型的には定期的にメンテナンスされているのか、今売られている製品もかなり状態は良好です。

ちなみに・・・ニチモは今は模型制作ではなく他のプラスチック工業部品等の製造で細々ですが生きながらえているようです。
ニチモはあの頃はタミヤ以上に輝いていましたよね。
ホント、王者ニチモカムバック!!

情景師・アラーキー : 2012/10/20 (土) 07:30:43

●→MASAKIさん

結局、最近は買っていない・・・って事がキモなんでしょうね。
我々が買わずともその次の世代が買っていればこの業界も上手くまわるんでしょうが、実際には下の世代はプラモデル離れが進んでいますから。

今見ても懐かしい・・・というクオリティ。
だけど単純な造形なんでそれでいいと思います。何も考えずに組み立てるとそれだけで楽しい!

情景師・アラーキー : 2012/10/20 (土) 08:09:18

●→チアキ・バチスタ!!さんひさしぶり!

ロボダッチも流行りましたね。
私は2歳下の弟がいるのですがロボダッチのプラモ(4個パックになっているタイプ)をよく作っていましたよ。
駄菓子屋や文具屋で売っていた100円のスーパーカープラモは私もよく作りました。
調度スーパーカーブームでしたからね。
河合商会が出していた100円スーパーカーももちろん作りましたね。

>この箱庭シリーズの’農家’は学校で作りました。

え?学校の授業??・・・そういえば部活というか文化活動の時間に「模型部」というのがあってタミヤのたのしい工作シリーズを使った木の車を作っていましたね。

情景師・アラーキー : 2012/10/20 (土) 10:30:36

●→逗逗さんちわ!

>先日もタムタムで小学生の女の子が茶屋を買っていくのを見かけました。

いいですね。その光景。
確かに女の子受けすると思います。だって可愛いですからね。
でもあのオガクズを着色した芝生って上手く張れないんですよ。だから芝生シートみたいなものを付けてほしいなぁと。

今回でのホビーショーでの商談で運命が決まってしまったんだ。。。。

ぴろんちょ左衛門之介久 : 2012/10/20 (土) 22:15:26

一時期多く見聞きした「模型店」の閉店と同じく“プラモデル”に関わる商売が厳しい現実、、、悲し

>すでに35年程の前の記憶ですが、
オレはまだ生まれて無いな、うんうん。

情景師・アラーキー : 2012/10/21 (日) 20:12:44

●→ツカサさんこんにちは。

そうですね。
ほんと、文化遺産が消滅してしまう悲しさ。
慌てて、このシリーズ買い集めています。。。

情景師・アラーキー : 2012/10/21 (日) 20:16:44

●→ぴろんちょさん

>>すでに35年程の前の記憶ですが、
>オレはまだ生まれて無いな、うんうん。

・・・・・え〜と。そうでしたっけ?
まぁあえてそこは指摘しないでおきましょ。。。。

ちょうぎ : 2012/10/21 (日) 23:16:59

このシリーズが模型店の棚から消えてしまうのは確かに寂しいですね。
しかし、企画というか存在そのものは良きモノではあっても、製品自体は今の目で見ると辛いものがありますので、仕方が無いのかな。とも考えてしまいます。
少し前、旧タカラの風の谷のナウシカのキットがバンダイより再販されたとき、バンダイは(特に宣伝もせず)金型を大幅に改修してきました。パッケージ等、キット自体の企画は変えずに、です。そりゃ大バンダイだから出来るんだよ、という面はありますが、そういった姿勢はメーカーとしてすごく良心的と思いますし、だからユーザーも付いてくるのですよね。
長文失礼しました(^^;

情景師・アラーキー : 2012/10/23 (火) 08:35:48

●→ちょうざさん

>製品自体は今の目で見ると辛いものがありますので

→あはは。確かに最近では 1/150スケールのハイディテールでしかも塗装済みの鉄道模型用の建物とか数多く展開されている市場ですからね。
だけど、このキット部品数の少なさがなんとも「入門キット」という雰囲気でいいんですよ。
たしかにもしもバンダイがリリースしていたら全てのパーツを色プラにして、塗装しなくてもそのまま飾れるような製品にするでしょうね。そういう仕掛けは確かに必要。全ての人が皆、塗装まで行き着くとは限りません。

ナウシカのキットはそのままの再販ではなく、結構改修していたんですね。
最近、あのオウムのパーツはほとんど新規パーツでは?と思える改修だと気がついて驚きました。

micanbaco : 2012/10/24 (水) 00:52:35

私も昔「草が生える」というポイントに惹かれ茶室を買いました。 
小学生に上がる前だったかな?  記事を読むまで完全に忘れてました・・・・。

しかし、このシリーズはどの年齢層をターゲットにしてたんでしょうね? “草が生える”って辺りと単純な内容は低年齢向けっぽいですが、モチーフ自体は渋いというか 高齢者向けというか・・・・

情景師・アラーキー : 2012/10/25 (木) 07:50:12

●→micanbacoさん

>このシリーズはどの年齢層をターゲットにしてたんでしょうね?

たしかに。。。。

しかしmicanbacoさんもしっかりと「茶室」なんてかなり渋いアイテム選んじゃったりして、子供なんてそんなもんなんですよ。昔は扇風機のプラモデルとかカラオケセットのプラモデルとか小便小僧のプラモデルとか、冷静に考えると「何じゃそのアイテム」と飽きれてしまう商品開発だったりした訳ですが、売れたんでしょうね。

ああ素敵過ぎる河合商会のプラモデル!!!

フォックスフユジ : 2017/07/05 (水) 12:43:14

アラーキーさん、こんにちは。河合商店の風物詩シリーズ、私も始めてこのパッケージ見た時はなんだかわからぬ懐かしさで胸がきゅーっと締め付けられ、思わず大人買いしてしてしまいました。そもそも私の原点はテレビドラマの「素浪人月影兵庫」ですが次の原点はこのシリーズです。峠の茶屋、蕎麦屋、居酒屋、佃煮屋は造りました。その後、木材でこうゆうの造りたいなぁと思っていましたら芳賀一洋先生が生徒を募集していましたので鉄道模型のストラクチャーの造り方を少し教わりました。難しかったです。三番目の原点は東海道五十三次を歩いた事です。模型づくりは20年くらいしていませんでしたが、最近五十三次シリーズにテーマが決まりボツボツ造り始めました。1/80、1/200で造っています。でも河合のプラモは私の心のふるさと、造った箱も造らない箱も大切にしておいて時々出してはにんまりしています。

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プロフィール

情景師・アラーキー

Author:情景師・アラーキー
.
.
■ 情景作家
■ 1969年生 居住地:東京・杉並 

「日常にあふれるさりげない光景」を立体化する事が得意なオールラウンドジオラマ作家。昭和ノスタルジーからアニメシーン再現まで製作範囲の守備範囲は無限。むしろ挑んだ事がない題材を与えられると燃えるタイプです。

「生み出すものに魂を込めて作る職人のようにありたい」・・・と願って「情景師」を名乗っています。

<過去の作例活動経歴>
●電撃ホビーマガジン
●電撃スケールマガジン
●モデルグラフィックス
●アーマーモデリング
●モデルカーズ
●パンツァーグラフ
●エクストラマガジン
(スペインの模型雑誌)

<<ジオラマ制作随時承ります>>
(製作事例:CM、テレビ撮影用、展示会用、トイの商品開発用、企業ノベルティー等)
・ジオラマ制作についての相談&質問もお答えします
・展示会等での作品貸し出しもしております。
・TV,雑誌,Web取材等の随時受付中。
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・おはよう日本(NHK)
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