fc2ブログ

廃漁船のある風景  その2



GWボケもまったく治らない今日この頃ですが、全国の模型趣味の”大きな子供達”はごそごそと動き回っている頃でしょう(笑)。今週木曜からは模型の聖地・静岡で日本最大の模型メーカーの新製品発表会である「静岡ホビーショー」が開催されて、それと同時に全国の、いや世界から凄腕のモデラーの集団である模型サークルが集まった作品展示会「静岡ホビーショー合同展示会」が開催されるのです。

http://www.hobby-shizuoka.com/

ぐふふふ、楽しみが止まらない〜!!



その静岡ネタは次回の日記で詳しく書くとして、今回は前回に続き「ペーパーで造る廃漁船の How to 」をご紹介します。

今回の漁船は造ろうと思った切っ掛けが、港の片隅に陸揚げされて朽ちている木製漁船を見た事でした。
それは北海道に現存します。

オムサロ遺跡公園入り口に保存?されているとても印象深い漁船(↓詳しく紹介している方のブログです)

http://moon.ap.teacup.com/pramon/383.html


以前から紙で造る木製物の可能性を実証しておりましたので、今回はちょっと大きな造形に挑みたいなと思っていましたのでこれはチャレンジする価値が高そうな造形です。

ネットでこの画像を見た際に、試しにサラリと書いてみたスケッチ。
これがそのまま大まかな図面になりました。(雰囲気スケッチなのでいろいろとゆがみがありますが)


船線図



船の背骨にあたるキールの部分には3mm厚の「厚ケント紙」を使います。
甲板には板の目にそって彫刻を施しています。

制作02


甲板の板の目ですが紙なので彫刻刀が使えません。カッターでV字に切り込んで大きな溝を掘り出して、それ以外の木目はレザーソウを横にスライドさせて作り出します。この方法はプラ板等にも使える方法です。


制作04




次に船体側面ですが、これを本来の木製帆船のように1枚1枚板状にしたものを張って行くとゆがみが出たりして大変。そもそもの展開図を書くのが超大変です。これは帆船模型の方がどのように作っているのか知りたい所ですね。今回のやり方は「簡単&強引」技法で!
始めに甲板とキールの部分を作っておりますのでかなり強引に側面に瞬間接着剤で点付けして手でちょっとしごいて柔らかくしながら張ってしまいます。

側面がある程度貼れた後に木目をカッターで刻んで行きます。これもV字溝を作る感じで。

制作05


この方法ならば均等に木目を刻めます。

下の写真では船体の下にちょっと不自然なゆがみがあるのが解りますが、ここはやはり大きなしわが出来てしまいますから切れ込みをいれて強引につなげている部分です。結局船体横はボロボロにしてしまうので気にせずに!

制作03



徐々にディテールが入って行きます。

制作07


制作06


ぐっと漁船らしくなってきました!!


木目が乾燥してめくれてきた演出は以前ブログで紹介した「ダイレクトカット」の技法を使います。
(↓ 以下参照)
http://arakichi.blog.fc2.com/blog-entry-33.html



制作01


上記のパーツを箱組すると操舵室の完成!
この方法でちょっとした小屋を作ったり、木箱を作ったりと AFV系のジオラマのアクセントにも使えるでしょう。


制作08



そして工作が完了した姿がこれです!


制作11



制作10



制作09



この時点ではまだ「紙だなぁ」といった様子がうかがえます。

強度を出したいときにはタミヤセメントをたっぷりとしみ込ませればプラ板のような強度を出せるんですよ。
「カッチカチ」になりますよ〜!!

そうすればある程度ペーパーかけもできるようになるんですよ。(ただし乾燥中はタミヤセメントこぼしちゃったようなものすごい匂いがしますけど:乾燥しきったら大丈夫)

ちなみにこれらの工作には木工用ボンドは使いません。水分が多いので工作している時に部品にゆがみがでちゃいますからね。ゼリー状の瞬間接着剤が最適です。

この後にはグレーのラッカー塗料で下塗りしてタミヤアクリルとエナメルで塗装していきます。

塗装編もいずれ紹介していきたいですね。



<定期PR>

※2021年2月11日発売
2015年にジオラマ作家として独立してから5年間に受注した仕事をまとめた写真エッセイ集。今までのジオラマ本のように作り方のHow to 記事も盛り込みながら、それぞれの仕事をどのように受注してアウトプットしたかを綴ったビジネス本として執筆しました。
好きな事を仕事にしたいクリエイター志望の方へのヒントになれば!





※2019年4月10日発売
失われつつある昭和の駄菓子屋を1/24スケールで徹底的に作り込み、その作り方を図面、写真で超解説したジオラマHOW TO 本。和風日本家屋の構造解説でドールハウスや鉄道模型などのジオラマ作りの参考になります!





※2016年8月に発売された私の初のジオラマHow to写真集「作る!超リアルなジオラマ」
イラストと写真を織り交ぜて、ジオラマ作りの考え方や作り方、保存の仕方、写真撮影、SNSでのアピールの仕方など重箱の隅を突くように執筆した本です。現在6刷突入で2万冊突破で好評発売中です!




                 
※2015年に発売された私の初の作品/エッセイ集「凄い!ジオラマ」をカラー写真2倍に増量+本の多さアップで生まれ変えた「凄い!ジオラマ[改]ジオラマ作りの楽しさを文章と写真で楽しめる本です!2018年11月発売



                

                 

※このBlogをスマートフォンでご覧の方、スマートフォン表示ではなく、「PCモード表示」にすると、過去の記事の検索や、問い合わせの為のメール送信のフォームがご覧いただけます。



スポンサーサイト



この記事へのコメント:

micanbaco : 2012/05/15 (火) 14:03:14

木造船の作り方で「湾曲した部分」をどーしたらよいのか ずーっと悩んでましたがそんな裏ワザが!?
これで以前断念した「宮崎駿の雑想ノート・最貧戦線」に出てくる木造船「吉祥丸」が作れます!(即パクリで申し訳ありませんが・・・)

兄さん : 2012/05/15 (火) 16:19:48

いやぁ、、、キャドモデリングが流行の昨今、こうしたガチなアナログ製作の記事は、本当に読んでて元気がでます!!
デジタルでは決して作れない、その質感に感動!
(模型は、やっぱアナログですよねぇ~!笑!!)
しかし、、、、
作りも圧倒されますが、、何よりも、色!!
もうね、、、本当に朽ち果ててるとしか見えない、凄みにまいりましたよ!!
さすがとしか言いようがありませんです、、、(#^.^#)

アラーキー : 2012/05/15 (火) 22:20:56

●→micanbaco さん、

>木造船「吉祥丸」が作れます!

→いやん、すてき!!吉祥丸の話はいい話ですよね。

そうか、宮崎監督ファンとしてはそれは食いつきますよ〜。

パクリかえそうかな(笑)
この手法でもっと違った木造船を造りたいと思っています。。。

アラーキー : 2012/05/15 (火) 22:25:33

●→n兄さん

ふふふ、アナログ万〜〜〜歳!!


普段の仕事ではバリバリデジタルで仕事していますんで、やっぱりなんか
「お前はアホか」っていうようなコツコツ仕事をしたいんですよね。

ガンプラみたいに高い精度が必要な訳でもない、かといっていい加減に作ってしまうと「ウソ」が丸出しになってしまう朽ち系模型はほんとうに魅力的。

静岡ホビーショーに持って行くのでみてやってくださいませ。

クリスタルボーイ : 2012/05/16 (水) 21:47:34

静岡か~。 遠いな~。 皆さんの作品みたいんだけど、時計修理費がな~。
行けません。

う~ん木目の入れ方参考になる。

yukiyuki : 2012/05/16 (水) 22:08:25

おお、紙製の作品。
思えば学生時代にクレセントボードやケント紙やトレーシングペーパーをデザイナーバックに入れて通学していたっけ。(懐かしい!)
当時から荒木さんの作品は頭1つ飛びぬけていましたが、更に進化していますね!
木板の破損なんか本当にリアルに見えます。

静岡ホビーショー、19日(土)に行ってみるつもりです!
運が良ければお会いできるかな?(すれ違っても気づかれないかも・・・)
荒木さんの作品も出展されるのでしょうか?
楽しみです!(^^)

アラーキー : 2012/05/18 (金) 02:21:19

●→クリスタルボーイさん

残念、これませんか。。。。。

でも、ネットで検索するとそのレポートをブログ等で紹介している方がけっこういらっしゃるので行った気分を味わえるかも。。。

私も気力があればこちらでレポします!!

アラーキー : 2012/05/18 (金) 02:26:48

●→yukiyukiさん

>学生時代にクレセントボードやケント紙やトレーシングペーパーを

懐かしいですなぁ。。。。けっこうペーパー工作の授業も多かったしね。
確かにあの頃はまだ模型趣味は封印していたけど、ちょいちょいデザイン授業の課題でバレていたかも(笑)


>静岡ホビーショー、19日(土)に行ってみるつもりです!

→うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!
マジで〜!!!

それは楽しみ。初の静岡ならばもうその規模にビックリすると思うよ。
車でくるならばもしかすると会場のツインメッセ静岡では駐車場がなかなか入れないかもしれない。。お隣のイトーヨーカ堂の駐車場とかもけっこう一杯になっちゃうからね。なるべく早い時間帯に来て、じっくりまわった方がいいよ。サークルの展示だけでも真面目にみると1日で見切れないからね。

ではでは会場で遭いましょう!!

管理人のみ通知 :

トラックバック:


プロフィール

情景師・アラーキー

Author:情景師・アラーキー
.
.
■ 情景作家
■ 1969年生 居住地:東京・杉並 

「日常にあふれるさりげない光景」を立体化する事が得意なオールラウンドジオラマ作家。昭和ノスタルジーからアニメシーン再現まで製作範囲の守備範囲は無限。むしろ挑んだ事がない題材を与えられると燃えるタイプです。

「生み出すものに魂を込めて作る職人のようにありたい」・・・と願って「情景師」を名乗っています。

<過去の作例活動経歴>
●電撃ホビーマガジン
●電撃スケールマガジン
●モデルグラフィックス
●アーマーモデリング
●モデルカーズ
●パンツァーグラフ
●エクストラマガジン
(スペインの模型雑誌)

<<ジオラマ制作随時承ります>>
(製作事例:CM、テレビ撮影用、展示会用、トイの商品開発用、企業ノベルティー等)
・ジオラマ制作についての相談&質問もお答えします
・展示会等での作品貸し出しもしております。
・TV,雑誌,Web取材等の随時受付中。
<出演事例>
・おはよう日本(NHK)
・めざましTV(フジテレビ)
・タモリ倶楽部(テレビ朝日)
・怒り新党(テレビ朝日)
・情報ライブミヤネ屋(TBS)
・まにあマニアル(BS日テレ)
・王様のブランチ(TBS)
・lifeサプリ(BS日テレ)
・経済ビジネスライン(BSNHK)
<雑誌取材事例>
・週刊新潮
・週刊アスキー
・女性自身
・ホットペッパー
・ビーコン

まずは直下にある「メールフォーム」にてご相談ください
(ご注意:最近問い合わせの私からの返信メールが送り先の「迷惑メールフォルダー」に振り分けられる事例が多くなっております。必ず問い合わせには返信しておりますので、ご確認くださいませ)

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

Ads by Google
カテゴリ
Ads by Google
月別アーカイブ
Ads by Google
今日も私のブログにお越しいただきありがとうございます
Ads by Google
Ads by Google
リンク
検索フォーム
Ads by Google