廃墟を造る! 1/144 RGガンダムのある風景
年度末ですね。
人事異動の発表があったり、今期中に終らせなければならない案件が出て来たり、非常にバタバタとしている今週でした。ようやく気温もあがってきて桜の開花日が確定したニュースが入ってくると気持も上昇!!
ああはやく温かくならないかなぁ.
前回紹介した1/144スケールRGガンダムを使ったホワイトベースのジオラマでは主役のガンダムは切り刻んでメンテナンスハッチオープンの状態にしてしまいましたが、この「リアルグレード・RG」シリーズというプラモデルはガンプラ誕生30周年記念モデルとして、バンダイが持てる技術をすべてつぎ込んだ「超ガンプラ」というコンセプトで販売されたものです。
ガンプラが初めて発売された「1/144スケール」にこだわり、1クラス上の1/100MG・マスターグレードなみの可動範囲を組み込んでいるというお化けキット。なんと同スケールのコアファイターもお腹に収める事が出来ます。(もちろん変形可能)
私は情景師を名乗っておりますのでもちろん制作するものはすべてジオラマ化してしまい、ガンプラもすべてポーズを固定してしまいます。
しかしこのRGシリーズはあまりにもおもしろい可動をするものですから、
「たまには固定しないのもありだなぁ」
とあえてポージングの自由を奪わずに造った初めての作品になります。
迫力ある廃墟の中で、崩れたハイウェイを盾にして敵を待ち伏せするガンダム。
実際の戦闘において兵士がよく構える典型的なポーズ。
こんな生っぽい人間のようなポーズもとれてしまいます。
このジオラマはファーストガンダムにおいて唯一の地上での都市戦を描いた、ガルマが最後を迎えた北米・ニューアークでの戦いのシーンを再現したものです。前回のホワイトベースでは最新宇宙船の内部をきっちり工作で制作しました。
その反動??
こんどは「破壊」のシーンを造りたい!!
やはりあくまでもガンダムの描く世界は「戦争」。光と影の世界はぜったいに存在するものです。
破壊されたドーム型のコンベンションホールにホワイトベースを隠して、ガルマ隊を待ち伏せしたニューアークでの戦闘は夜間シーン。上記の写真はそんなイメージで撮影しています。
しかし、ジオラマは日光下で撮影すると本当にいい雰囲気になるのはこのブログでなんども紹介していますね。
やはり日光下の写真はいいですね。
ちなみに・・・スポンサーのおもちゃメーカーの意向で典型的なヒーローカラー(赤.青,白、黄色)の組み合わせになってしまったガンダムですが、派手な黄色を封印して青みを押さえたブルーを選ぶだけで随分格好良くなりますよ。
このジオラマの全体像。サイズジャストA4.
今回のジオラマベースは雑貨屋さんで購入した金属の小物入れ。
破壊された都市のイメージであわせるために、机の角にぶつけてボコボコに変形させて演出を加えてみました。
さて、破壊されたビルの工作ですが近似値スケールのNゲージのビルを改造して使っています。
このビルはジオンの空爆によって廃墟化したニューアークを演出するために、完全廃墟ではなく1部を破壊する事でこの町のかつての繁栄を想像できるようにしています。ジオラマを造る際にはそういった「対比」がよいアクセントになります。
鉄筋コンクリート作りのビルの場合は兎に角、各階のフロアーや壁に鉄筋が出ている事で緻密な演出をする事ができます。
このビルは鉄道模型のメーカーKATO製のビルですが、なんと各フロアーがプラパーツで細かく出来ていましたからそれをペンチで壊して、電動リューターでランダムに穴を開けまくって、ペンチでゆがめた真鍮線を差し込んで作っています。
破壊されて時間が経過したことを表現するためには鉄筋の先をオレンジ色が濃いめの錆色をちょっとだけ加えるといいでしょう!
今回のジオラマのタイトルは「サバイバル」。
生き残る為の戦いという生物においてはもっとも重要な事。
生と死を再現するためには生きている部分と破壊された死を対比させる事が重要です。
破壊されたビル、普段の生活で突然起こった空爆により横転したトラック。。。。
このKATO製の建物の面白い所は、先ほども書いたように建物の内部のディテールがある事。
ジオラマベースにあわせて斜めに配置した建物を斜めに切断しなければならなかったのですが、面白い事に室内がいい雰囲気で現れました。
だから室内も造る事にしたのです。
空襲により、あわてて逃げ惑ったのでしょう。
フロアーにはいろいろな書類が散乱しています。
室内はオフィスビルによくあるマホガニーの壁をPCのグラフィックソフトで造ったシールを貼付けて再現しています。
1/144スケールのジオラマは鉄道模型の建物や車が使えるメリットがありますので、再現に幅が広がります。
<定期PR>
※2021年2月11日発売
2015年にジオラマ作家として独立してから5年間に受注した仕事をまとめた写真エッセイ集。今までのジオラマ本のように作り方のHow to 記事も盛り込みながら、それぞれの仕事をどのように受注してアウトプットしたかを綴ったビジネス本として執筆しました。
好きな事を仕事にしたいクリエイター志望の方へのヒントになれば!
※2019年4月10日発売
失われつつある昭和の駄菓子屋を1/24スケールで徹底的に作り込み、その作り方を図面、写真で超解説したジオラマHOW TO 本。和風日本家屋の構造解説でドールハウスや鉄道模型などのジオラマ作りの参考になります!
※2016年8月に発売された私の初のジオラマHow to写真集「作る!超リアルなジオラマ」
イラストと写真を織り交ぜて、ジオラマ作りの考え方や作り方、保存の仕方、写真撮影、SNSでのアピールの仕方など重箱の隅を突くように執筆した本です。現在6刷突入で2万冊突破で好評発売中です!
※2015年に発売された私の初の作品/エッセイ集「凄い!ジオラマ」をカラー写真2倍に増量+本の多さアップで生まれ変えた「凄い!ジオラマ[改]ジオラマ作りの楽しさを文章と写真で楽しめる本です!2018年11月発売
※このBlogをスマートフォンでご覧の方、スマートフォン表示ではなく、「PCモード表示」にすると、過去の記事の検索や、問い合わせの為のメール送信のフォームがご覧いただけます。
この記事へのコメント:
transista : 2012/03/25 (日) 12:54:20
オーラというか,雰囲気というか,なんかとても魅力ある作品ですね。
「神は細部に宿る」ではないですが,細かな作り込みやこだわりが
全体の空気感というか,緊張感を生み出しているのでしょうか…。
自分も作ってみたくなりました。
アラーキー : 2012/03/25 (日) 21:55:51
こんにちは。
いえいえこちらのブログはいつでも観覧は自由ですよ。ハイ、もちろんお代はいただきません(笑)
こうやってぶらりと寄った方が気軽にコメントを残していただけるだけでも有り難いと思います。
1枚目の写真はいいでしょ?
特に凝った事もしておりませんし、4万円ぐらいで売られているコンデジで撮影しているんですよ。いいジオラマが出来たならばいい写真でアピールしたいですものね。
作者の愛が入っています。。。
>自分も作ってみたくなりました。
→こういう言葉が一番嬉しいですね。
いろいろな方にジオラマの面白みを伝える事がこのブログの主旨ですからね。
なんでも聞いてくださいませ!!
ねこ : 2012/03/29 (木) 21:53:12
崩れたビルから出る鉄骨といい
火災があっただろうと思われる壁のスス汚れといい・・・
見所満載で( -∇-) ジ~~~~と見入っちゃいました♪
(個人的にはHY2Mザクらしきものやシャアザクのポスター
が貼ってある、4Fのフロアにどんな人が居たのかが気になる気になるw)
MASAKI : 2012/03/30 (金) 23:51:58
室内の作りこみや演出は流石ですね~。
これからもいろいろみんなを刺激する作品お願いします。
アラーキー : 2012/03/31 (土) 15:26:40
僕は基本的にはラッカー系基本塗装で汚しや細かい塗り分けはエナメル使用者なんですけど今回のこの作品だけは珍しく油絵の具を使ってみたんですよ。けっこういい感じの汚れ具合なのでAFVでよく使われるこの手法はガンプラにも有効かもしれません。
>シャアザクのポスターが貼ってある、4Fのフロア
→ふふふ、そこはバンダイのニューアーク支店です(笑)
ビルの前に横転しているトラックはバンダイの社車ですしね。
アラーキー : 2012/03/31 (土) 15:29:15
廃墟ものは奥が深いですね。
この作品はそもそもは作例なので短期間での制作&納品ですが、手を加えれば加えるほど作品が良くなるアイテムです。
室内の造り込みはいつかやってみたいとおもっていましたので、今度は廃墟じゃなくて生きているビルで、しかも電飾バリバリで造り込んでみたいです。