イタリアの街角(1/35サファリアーナのある街角)
ようやく週末です。。。。
しかも本日は25日。
大抵のサラリーマンは給料日ですね!。それを狙ったように設定されている模型紙の発売日〜。
定期購読している方はどんな特集でも「兎に角買う」人もいるでしょうが、少ないお小遣いでヤリクリしている方は本屋でちょっと立ち読みしてから買われる方もいるでしょう。
この週末はニヤニヤと各誌を眺めながらの模型ライフをエンジョイ出来ますね♪
さて、こちらのブログではしばらく昭和ノスタルジーな情景が続きましたが、そろそろ和食ばかりではなく「洋食」も食べたくなって来たのでは?
とくにアンチョビやチーズがたっぷり乗ったピッツァなどはいかがでしょうか?
ということでかつてはAFVモデラーだったことも振返りながら(笑)本日はイタリアの街角のジオラマを紹介したいと思います。
1/35 イタレリ製の偵察車・サファリアーナのある風景です。
色彩が華やかなジオラマ。
2次大戦ものとしてはなんともほのぼのしたシーンです。
主役の「サファリアーナ」はその名の響きで想像出来る通り、そもそもはイタリア軍が砂漠専用に開発した車両でした。特徴は大きなタイヤとまるで水陸両用かと見間違う船型の車両デザイン。
機動性の良さを買われて極一部がローマなどの市街戦の偵察車両として使われました。
偵察勤務中に小休憩中の部隊。その前を通りかかった花売りの女性。
あまりに魅力的なその姿にクギ付けになって一同「注目!」してしまった光景。戦争中とはいえ女性に対する関心度の高さはさすがイタリア男性(笑)。
そのシーンをベランダで眺める乳飲み子を抱える女性。
『私もかつてはそんなもてはやされた事があったわね』
そんなストーリーが込められています。
このジオラマベースにはアンティークの皮のバックが使われています。
古いイタリアの街角、そして決して血生臭くない戦争のよき思い出。それらの思いがいっぱいつまった鞄という設定で古道具屋で探して来たものです。
旅行鞄の想定としてラフに張られたラベルは、当時のふるいイタリア製の食品のパッケ−ジをアレンジしています。PCでプリントした物をわざと手でしごいて、塗装で汚して染みをつけて馴染ませてみました。
このジオラマでの使用キットは以下。サファリアーナは後日、個別に紹介するとして注目すべきは欧州の建物を作る際に超便利で待ち望んでいた「窓枠セット」。これはマニアックでうれしいプラモデル!!。やはり窓枠の制作はちょっと面倒。
よくハリウッドで作られる日本イメージの建物や室内は日本の建物の基準である「寸」での比率が曖昧なために雰囲気はまぁ悪くないけど何だか変という感じがしてしまいます。
やはり日本人がつくる欧州の建物もそれらの感覚があると思いますので窓枠やドアのキット化はうれしいですね。
※<追記>窓枠のキットは現在は絶版のようです。
欧州の石畳や煉瓦製の建物などはスチレンボードによる制作がベストです。
よく建築模型に使われている発泡スチロール製の薄い板の裏表に紙が貼られている素材がそれですが、ここではタミヤ製のスチレンボードを強くお勧めいたします。始めから紙が貼られていないスチロール製の板なのですが、その密度が市販されているものとはまるで違う!!
この板のうえからボールペンでちょっと強めに窓枠や石組を描くと適度に凹んでディテールが作れます。1/35スケールあたりがちょうどいいのですが、もう少し小さいスケールや密度を出したい時には爪楊枝を使って引っ掻くといいですよ。ピンバイスの先に爪楊枝を差し込んで作業すると使いやすいでしょう。
ディテールが書き込まれたら画材店で売られている石膏をペースト状にしたリキテックスの「モデリングペースト」を筆で湿布していきます。これで表面のざらざらな質感が演出出来ると共に、塗装時に塗料でスチレンボードを溶かさずにすみます。モデリングペーストはジオラマの地面でも使えますのでジオラマ制作には書かせない万能素材です!!
イタリアにみられる丸瓦の再現には、かつて「トタン屋根の造船所」でも紹介しましたアメリカ製の「プラストラクト」社から販売されているバキュームホームで成形されたものが便利です。
↓通販先サイト
http://www.rakuten.co.jp/jema/
素焼き製の不揃いな感じを演出する為に表面を荒いペーパーヤスリで引っ掻いて荒らしたり、モデリングペーストをなすり付けたりしてディテールアップ!
塗装前のこの状態はモデラーにとってうっとりする一時。
石畳も基本的には建物と同じ作り方です。
塗装にはアクリル塗料をベースに、ちょとだけエナメル塗料を使って仕上げています。
モデリングペーストをしっかりと湿布すればスチレンボードにコーティングされていますからエナメルでも下地を溶かさずに塗装する事が出来ます。
今回はAFV車両でジオラマを構成していますが、こんな凝縮感のあるイタリアの街角ならば真っ赤なフェラーリやアルファロメオなどのプラモデルやミニカーなどを飾るベースとしてもおしゃれでいい雰囲気になると思います。
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この記事へのコメント:
屋根裏部屋の男 : 2012/02/25 (土) 12:25:33
模型誌を見るのもいいのですが。。。
アラーキーさんのブログによるHow-toの方が好きなおいらです(笑)
完成した作品を見るのもいいのですがね!
おいらなんぞは趣味の模型人ですが、やはり上手い人の「作り方」が一番知りたいところな訳です。
素材の性質やそれに対して使用する資材の情報。
そしてその使い方や表現方法など、応用すればどのジャンルにも使える手法はとても参考になりますからね!
何より、お金払わずに(勿論ネット環境の為の費用は掛りますが)これだけの情報を配信して頂け、場合によってはこうしてコメントする事で質疑応答も頂けるなんて、幸せな時代ですよね♪
ケン太 : 2012/02/25 (土) 17:39:22
石畳のモデリングペーストは参考になりました~今度試してみます。
ちょうど、ラピュタのロボット兵が、ぴかーっとレーザーやる所をどうするか悩んでおりまして・・・城砦の円筒形の部分をどうするかで、現在試行錯誤しております。
ジオラマの車体のさりげないマルタ島迷彩、すきです。
アラーキー : 2012/02/25 (土) 23:14:00
雑誌掲載の作例はその号の中の数ページにしか過ぎず、なかなか記憶に残る作品を生み出すのは難しいなぁと思っています。
しかしブログの場合は積極的にアクセスして見に来てくれた訳ですから記憶の中にもしっかりと残る可能性が高いのでこちらとしても嬉しいですね。
また、1つの作品の中でもその記事に関してやり取り出来ますからね。
アラーキー : 2012/02/25 (土) 23:22:13
おひさ!
mixi止めてしまったのでやり取りの回数は少なくなってしまったかもしれませんが、私はいつでもここにいますからいつでも遊びに来てくださいね。
ラピュタの城壁ですか。。。。
私が造るのであれば、100円ショップとかホームセンター売られている円筒のゴミ箱とか小物入れとかちょうどイメージにあいそうな円筒の筒を探して来て、その周囲に上記のやり方でけがいたタミヤのスチレンボードを貼付ける方法を選択しますね。その際には1mmか2mmのスチレンボードがいいかと思います。けがいた後に癖を付けながらエポキシ接着剤(5分硬化タイプ)で固定するといいでしょう。
サファリアーナの編み目迷彩・・・・マルタ島迷彩っていうんだ。。。勉強になりました!
ゼンガー : 2012/02/28 (火) 10:13:06
相変わらず 凄い作品でほれちゃいますよ^^
達人の講座を受けてる感じでいい勉強になります^^
自分が何時ジオラマ作るか分かんないですけどね^^;
でも アラーキーさんの作品を見てるとジオラマ作りてーって
テンションが上がってくるんですよね
でも オイラはまだその前段階でキットをちゃんと作るところなんで
ジオラマ製作できるよう 地味に進んでますw
それでは またきます^^
アラーキー : 2012/02/29 (水) 06:45:04
>自分が何時ジオラマ作るか分かんないですけどね^^;
→「箱庭遊び」とは平安時代に貴族の遊びとして流行したという記述があります。
けっこう歴史があってしかも高貴な遊びの一種なんですよ(笑)
確かにジオラマって総合造形なので主役のプラモデルを中心にいろいろ造り込まなければならない事が多くて手間も時間もかかって大変!
それ故に作り上げた時には嬉しさも倍増する感じですね。
人の作品を見る事はジオラマ制作の最初の一歩になる刺激があります。
あれこれと刺激を与える作品を多く作り出さればと思います!
カズジイ : 2012/02/29 (水) 09:48:16
アラーキー : 2012/03/01 (木) 06:41:39
えへへ・・・
普通に木材でジオラマベースを作るよりも、何かをアレンジして制作するとそれだけ楽しみも増えますよね。
100円ショップに行くとそれらの材料の宝庫。
またアンティークショップだと既にエイジングがほどこされた時代物はジオラマの中の薄汚れた車両や建物と違和感がなくて統一感を出す事が出来ます。。。
クリスタルボーイ : 2012/03/03 (土) 16:11:22
> ピンバイスの先に爪楊枝を差し込んで作業
なるほど~と色々参考になります。
でも一番気になるのは、どのように普段はジオラマを保管してるんでしょうか。
かなり作られてると思うので色々な形。高さある作品 今回の作品とかはどうしてるんですか?
MASAKI : 2012/03/05 (月) 12:29:22
大変参考になります。
アンティークのカバンをベースに使うなんて言う発想がいいですね。思わずカバンが閉まってしまうんじゃないかと想像してしまいますが、どうやって開いた状態で固定してるんですか?
アラーキー : 2012/03/05 (月) 22:41:02
>でも一番気になるのは、どのように普段はジオラマを保管してるんでしょうか。
→気に入った作品はリビングに専用のジオラマ展示ケースを特注していてそこに飾ってあります。でもすべて飾れる訳ではありませんのでそれぞれのジオラマ作品にぴったりと合った専用の段ボールケースを作って、模型専用の倉庫に保管してあります。
いつかそこら編を紹介する記事を書きますね。
ちょっと普通の人とは違った生活をしていますから興味はあるでしょう(笑)
アラーキー : 2012/03/05 (月) 22:45:21
>思わずカバンが閉まってしまうんじゃないかと想像してしまいますが
→鞄を開けるとジオラマがポップアップブックみたいに飛び出るようなそんなイメージです!!
でも、実際はしまりませんけどね(笑)
ホームセンターに売っているL字金具を内部に仕込んで90°に開いた状態で固定してあります。