深海へのダイブ・マイナス6500mの宇宙船:しんかい6500
私は「戦う船」よりも『働く船』の方が断然好きです!
もちろんその興味のベクトルはプラモデルにおいても同じです。
幼き頃からあまた売られていた各国の著名なバトルシップには目もくれず、タグボートやカーフェリーなどの実用船ばかり作っていました。カーフェリー「サンフラワー」とか、ものすごく格好良く思えましたね。
当時そういうおもしろい船のキットがたくさん売られていましたね。ロウソクを動力にしたいわゆるポンポン船(崖の上のボニョで出て来たそうすけのおもちゃの船のような動力)の漁船も造ったなぁ。
もちろん船の仲間である潜水艦もしかり。
こんな私が生まれて初めて「かっ、かっこいい!!」と目が釘つげになった潜水艦は当時TVドラマで放映されていた小松左京原作の「日本沈没」に登場した「わだつみ」でした。
今見てもいいデザインだなぁ。
実用船はちょっとダサい質実剛健な設計がいいんですよ。
当時バンダイから発売されていたキットを少ないお小遣いを溜めて購入したのは昨日の事のように覚えています。
うれしかったなぁ。。。当時はたしか小学校に上ったばかりだったかな?
パッケージの絵がものすごくよくて、
「ああTVの特撮映像で出て来たわたつみが手に入った!!」と大興奮。
しかし・・・・悲劇はこの後に。
家に帰るなり鼻息荒く組み立ててみたら・・・・
潜水艦には無いはずのタイヤ、そしてゼンマイ走行のギミック。いちを水中モーターを付けて水中で遊べるようにはなっていましたが、特撮映像のあの劇中のわだつみには程遠い造形
「これじゃない~!!」
と愕然とした記憶があります。
当時のプラモデルは箱絵の迫力とは裏腹なトホホな造形のキットが多かったですね。
時は流れ2011年。
世界に誇る大深度潜水艇・しんかい6500のキットがなんと長谷川、バンダイから同時に発売されるなんて誰が想像したでしょう。徹底取材によって再現されたディテールは2社では優越付けられない完成度。
言うまでもなくこのキットには地上走行するタイヤはついていません(笑)。
しかもこの実在のしんかい6500は2006年にリメイクされた映画「日本沈没」において「わだつみ6500」として劇中で活躍していましたね。これも何かの運命?
内部まで再現されLEDを使った発光ギミックまである1/48スケールのバンダイ、
一方作りやすい大きさの1/72長谷川。
どちらを造ろうか。。。悩むところですね。
それにしても2社のパッケージ画はものすごくいい!!。
ハセガワのパッケージはものすごく緻密な絵で、もう絵を見ただけでご飯3杯いけちゃうプラモパッケージの王道。「タンクロウ」さん、あまり聞いた事無い画家さんです。この方の絵は好きだなぁ〜。これから期待できますね。
一方バンダイのパッケージは・・・し、渋過ぎる!!
これまた迫力の1/100ガンプラのマスターグレードシリーズで定評な天神さんの画。
これもかなり挑戦的な、いままで見た事の無い雰囲気の絵ですね。
パッケージはプラモデルにおいて重要なアイテム。パッケージだけでこんなに話が出来るなんて
なんていアイテムなんだ、しんかい6500!!
そうだ気を取られていた、さてさてどちらを造ろうか、いやなやまずに素直に両方造りなさい・・・・
「おまえの落とした斧は金の斧か?銀の斧か?」
と問われているような気分(まったく例えがちがうか)。
で、悩んだ末に私が造ったしんかい6500がこれ!!。
暗闇から浮き出たこの姿。これはまさに深海に浮かぶ宇宙船!!
しんかい6500、かっちょいい!!
前方のマニュピュレーター、各種ライトやカメラなどの配線などけっこう手をいれています。
マニュピュレーターの下にあるバスケットは、1/72スケールのハセガワ、1/48スケールのバンダイ共に
一体成形の無骨な箱の部品。ここはしんかい6500でもかなり重要なパーツなのでエッチングパーツで
再現してほしかったなぁと思いながらも
「ここは手を加えられるな!」とニヤリとしてしまう部品。
プラ板を丁重に切り抜いて造り直しております。
これだけでキットの緻密さが3倍になりますね!
ちなみに・・・ハセガワのパッケージ画ではこのバスケットは側面にも金網が張ってありますが、実際のしんかいにはこの部分は金網がついていません!四角い目の網はハセガワ製のエッチングパーツを使っています。
で・・・・
このキットは・・・・
じつはハセガワの1/72の方を造ったのでした!!
手のひらサイズで部品数の少ないキットですが、手を加えるとまるで1/48スケールと見間違うような仕上がりになりますよ!!
小学校の頃の俺よ。
2012年に俺は潜水艦リベンジしたからなぁ!!
さぁつぎはバンダイのわだつみの徹底改修だ!!
(まず手に入りません:泣)
→追記:2年かけてなんとか探し出して手に入れました!!!
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この記事へのコメント:
たつまる : 2012/01/24 (火) 01:53:00
どちらも買いましたが、まだ手付かず…しかし、こんなに凄いの見ちゃったら思わずしまいこみそうになります…が!せっかくなのでこちらの画像を参考にさせていてだきます!
クリスタルボーイ : 2012/01/24 (火) 07:03:54
個人的にはハセガワの方が好き。
前回の建築物との合体、期待してます(^_^)
marizoon : 2012/01/24 (火) 07:42:23
パッケはバンダイの方が好きなのでバンダイ作ろうかなー。
よっしー : 2012/01/24 (火) 09:15:01
明日の模型誌の発売が楽しみですー♪
ほにほに : 2012/01/24 (火) 12:42:25
どっちも好きですけど。
いいなぁ、僕も欲しい!o(^▽^)o
買うなら手頃なH社♪
MASAKI : 2012/01/24 (火) 13:21:04
マシーネンクリーガーに出てきても違和感なさそうな曲面で構成された船体と分割ラインが何ともかっこいい。
元のキットの状態を知らないのですが、アーム周りなんかかなり手を加えられている感じがします。
明日の雑誌の記事楽しみにしてます。
たみー : 2012/01/24 (火) 21:53:50
しかし細かいパーツの精度がすごすぎてホントの大きさが想像できませんね。
箱絵はバンダイの方が渋くて好きですが、知らない人はこれが何だかわかならそうなんで、ハセガワの方が無難なんでしょうね。
アラーキー : 2012/01/24 (火) 21:56:40
両方買ったとは・・・・貴方も潜水艦フリークですなぁ(なかま!なかま!!)
実は、私も試作品でしたが1/48のバンダイ版も軽く素組しています。
あれは楽しいですね。立体のパズルのよう。
やはりハセガワの方を先ひ組み立てるべし!!
あっと言う間に出来ますから次へのステップが出来ますよ〜。
たのしんで下さいませ。。。
アラーキー : 2012/01/24 (火) 22:00:34
プラモデルのパッケージとしてはハセガワの緻密さに軍配があがりますね。
ほんと、箱が小さいから「もっと大きな絵で見たい!!」と。
しかし、映画のポスターのような天神さんのバンダイの絵もグラフィックデザインとしてみるといいですね。こちらは額に入れて部屋に飾っておきたい感じ。
いいですね、いいですね!!パッケージ画だけでも皆でこうして盛り上がれるのは!!
アラーキー : 2012/01/24 (火) 22:04:53
こんにちは!!
バンダイの利点はやはり1/48の大スケールをいかした室内再現ですね。
手元にあるこの部品を眺めても室内の壁に配置された機器にファイバーグラスで細かく電飾すると良いだろうなぁと妄想してしまいます。
ハセガワを組み上げたから今度はバンダイ版で遊んでみようかな?
バンダイの方もライト&カメラ周りを僕の造ったものを参考にしてディテールアップしてみてください!!
- : 2012/01/25 (水) 04:52:12
たみー : 2012/01/25 (水) 18:14:37
作例だったんですね(汗
先日公開してたのがあのクレーン部分とはまったく気づきませんでした。
海の表現も毎回新しい感動です!
よっしー : 2012/01/25 (水) 22:10:46
師匠の作品、ホンモノと区別が付かなくって一瞬スルーしそうになっちゃいましたよ。
これから海に潜るまえの緊張感が伝わってきましたよ−。
アラーキー : 2012/01/25 (水) 22:35:42
だぶる書き込みありがとうございます!
そうですか電ホビ見ちゃいましたか、なんだか地味な構成だったでしょ?
本当は大きな声で宣伝したいんですが、まぁいろいろ大変でして。。。。
折角造った作品も掲載写真で100倍にもなるし、また1/10にもなるし。
なかなか難しいですね。
アラーキー : 2012/01/25 (水) 22:37:48
バンダイの箱絵は本当に冒険ですよね〜!!
実はまだ実物の箱ってみていないんですよ。
どんな感じに出来上がっているのか楽しみ。
箱だけ・・・・ほしいんですけど(笑)
ポスターとかあったら欲しいなぁ。
アラーキー : 2012/01/25 (水) 22:41:07
ハセガワのキットは1/72サイズとはいえ本当に好く出来ていますよ。
じつはあのマニュピュレータは配線コードを追加したことと、抜きの関係で埋まっていた部分を彫り込んだだけであまりいじっていないんです。
本当におすすめですよ!!
たしかにマシーネンのような感じで造るのもあり。
自由に作って楽しみましょう〜!!
アラーキー : 2012/01/25 (水) 23:20:56
>早いじゃないっすか!
→へへへ。
なんせ発売前の試作を手に入れての制作ですからね。
でも毎回苦労するのはやはり試作なんでパーツ精度がちょっと達していないので加工が面倒なんですよ。
そうそう、やはり掲載雑誌発売前はこれが作例だとは内緒にしており・・・
掲載雑誌は・・・ちょっと物足りませんね。残念(泣)
補完はこちらのブログで行ないます!
アラーキー : 2012/01/25 (水) 23:22:49
>バンダイのBOX、天神さんじゃないYo!
→天の声さま
え!!!!!!!!!!
あれ、天神さんの絵じゃないの????
まったく画風が似ていたので思い込んでいました。
誰の絵なんでしょうね。
バンダイさんは新しい画家さんを導入したのかな?
ゼンガー : 2012/01/26 (木) 08:14:49
早速電ホ拝見しましたよん
正月休み返上で作ってたもの拝見させてもらいました^^
いやーさすが師匠って感じです
細かい部分までリアルに再現すごいの一言です
見てる私もテンション上がります^^
ではまたです
アラーキー : 2012/01/27 (金) 07:19:34
お久しぶりです。
掲載された電撃のページで喜んでいただけたなら幸いです。
残念ながらあのページではこのジオラマの魅力と努力が40%しか再現されていないと考えております。
こちらのブログでは私の言葉で私の気に入ったアングルで写真を掲載していきますから
そちらの方で御楽しみください!!
Campos : 2012/04/29 (日) 21:52:44
アラーキー : 2012/05/01 (火) 07:12:13
いらっしゃいませ!
そういう書き込み大歓迎ですよ。これも一つの模型を通じた出会いですからね。
私、日本の特撮映画が大好きで、子供の頃の夢が「特撮技術者」だったので日本沈没はかなりの回数みておりますが、小松左京先生の小説はそういえば読んだ事がありませんでした(不覚)
日本の地震の研究者の中でこの「日本沈没」に影響を受けてその道を目指した人がやく60%以上というアンケート結果をどこかで見た事があります。それだけ影響を与えたリアリズムを追求した小説なんですよね。
>このブログの画像を頭に思い浮かべつつ、小説を読み進めていきたいと思っています。
→とても素敵なコメント。このブログをやっていてよかったと本当に思いました。
単なる趣味で始めたジオラマ制作ですが、人に思い出や感動を与えられると思って続けてまいりました。
励みに成ります!!
また遊びに来てくださいませ。