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暗黒の都市・ゴッサムシティー<その5>ー建物制作編その2


How to ゴッサムシティー・ジオラマの5回目

今回は煉瓦建築を作る際のちょっとしたテクニック満載ですよ♬


まずは前回からの宿題であった「アメリカの古アパートの非常階段」の工作。

映画のシーンでもよくみられるこの鉄階段。恋人がささやきあう甘いシーンだったり、追っ手が忍び寄る緊張のシーンだったり。。。。前から作ってみたかったジオラマの題材でした。
そのバリエーションの豊富な鉄道模型の HOゲージ(1/87 scale)では煉瓦作りの古いアパートやエッチングパーツの非常によく出来た外階段のキットなどいろいろな種類が発売されています。しかし1/35スケールでは皆無です。
それはアメリカ本土では南北戦争以降の近代戦争が行なわれなかったからでしょうね。1/35スケールでは AFV模型のスタンダードスケールで、第2次大戦中の欧州戦は地上戦が激しかった故にそれらの国の様々な建物のキットが発売されていますから。


無い物は作るしか無い!

しかし、鉄製の反復造形が多い鉄階段をスクラッチするには精度が求められるので非常に時間が掛かりハードルは高いのです。
なにか流用できそうなものは無いかなぁと探していたら、ピッタリのキットがありました♬
バキュームの建物と同じメーカーのminiartの「歩道橋」というキット。





トラスフェチである私が以前から目をつけていた鉄製の大きな歩道橋を作れるキットです。それにしてもマニアックなプラモデルですね〜。冷静に考えると「歩道橋」のキットですよ!
値段が7000円ほどしますので、ちょっと尻込みしていたのですが、この階段を作るには最適である事と、またこのジオラマにアクセントを入れる為に別の重要な建物をつくるのに使う目的がありましたので、迷わず購入!


非常階段を作った時のレシピは以下の通りです。

説明



これらを作る為の資料はすべて Googleの画像検索で探した写真資料だけです。
求める写真を見つけるまでにいろいろな言葉を探すのが大変なのですが、まるで探偵みたいに探りあてるのは楽しい作業ですね。



さて、いよいよ建物の塗装に入ります。


煉瓦の色はオレンジ色系の華やかなものから焦げたパンのように黒焦げ茶色のものまで様々な種類があります。
写真資料を眺めてみると、ニューヨーク辺りの古いアパートはゴケ茶色系の煉瓦を多く使っているようです。

ラッカーの「艦艇色」をベースにちょっと赤を加えたりして好みの煉瓦色を作り、エアブラシで塗装します。
全体が塗り終わったら、その色に黒を混ぜて部分的に塗装していきます。写真のようにぼんやりとラフに塗装してもいいのです!


壁塗装_1



壁塗装_2



これで基本塗装はおしまいです。・・・・ハイ、心配いりません。こんな物です♬



そこで煉瓦建築を作るときの最大の見せ場である「漆喰の白い目地」工作のテクニックです。
私のブログを以前からご覧になっている方にはかつても紹介したテクニックですがもう一度紹介します。

この白い目地を白い塗装で行なっていた方がほとんどだと思います。流し込み塗装で結構面倒。しかもファンシーな建物になっちゃって、イメージ通りにはいきません。


そこで、この目地工作にはコンパウンドを使います!

壁塗装_3




クリーム状なのでスキマに入りやすく、煉瓦の目地がみるみる白くなっていきます。
種類はなんでもいいと思います。しかしクリームが「白い」タイプを使ってくださいね!
ここでの注意点は本来のコンパウンドの目的は「研磨」ですので、強くゴリゴリと刷り込むと、当たり前に煉瓦色の塗料が落ちますので、やさしくやさしくですよ!


壁塗装_4



塗り終わった直後はこんな感じ。ちょっと不安になりますね。

乾燥させるとクリーム状のものが白く粉をふいた状態になり、結構しっかりと定着してしまいます。
そこで濡れたテッシュや綿棒で拭き取ると以下のようないい感じに成ります!

部分的に上手く塗り込めなかった所は、後から追加で加工出来ます。ある程度ラフになっている方が雰囲気はありますね。

作業を効率よく進めたい人はドライヤーを使って乾燥を早めてください。ただしバキュームキットは熱には弱いですので当て過ぎには注意しましょう!


壁塗装_5



煉瓦の目地工作が終った後には白すぎるこの目地の部分に茶色の汚しを加えて全体的なバランスを整えます。

以下の写真はある程度おちついた状態での全体写真です。

壁塗装_6


非常階段、窓枠などは塗り分けがしやすいように後から組み込めるように作ってあります。
基本工作が終って、これらを組み上げた後に仕上げの汚し塗装を加えてます。雨だれの跡や鉄製非常階段の建物との結合部から流れる錆など。。。。これからのエフェクト作業がまた楽しいんですよね〜。

1階部分の煉瓦の壁はグレーに塗られていますが、ニューヨークあたりのこれらの建物は1階が飲食店などの店舗になっており、改装の際にべた塗りしている光景がよく見られますので、それを再現してみました。ここにはこの後に、グラフティーアートと呼ばれるスプレーペイントの落書きが書かれます。この時点ではどうやって書こうか思案をしているところでした。


本日はこれにて♬

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この記事へのコメント:

don : 2013/06/08 (土) 11:55:47

歩道橋のキットがあるなんて・・・(@。@)
おどろきですww

MASAKI : 2013/06/08 (土) 15:06:14

いつも参考になる記事をありがとうございます!!

歩道橋のキット店頭では見た事無いですね。
リンクされてるアマゾンも品切れ。
かといって見つけた時に買っておいて積むには髙い・・・

ジオラマビルダーとしては買っておくべきなんでしょうね~

MACK : 2013/06/09 (日) 00:33:34

同じく、こんなキットがあるなんて!(◎_◎;)
そしてコンパウンド!(◎_◎;)
その発想力に脱帽です
記事を書くのはかなりのお手間と思いますが、後続のためにぼちぼちでかまいませんので、よろしくお願いします~

情景師・アラーキー : 2013/06/09 (日) 19:59:56

●donさん

歩道橋、いいでしょ。
僕的には日本の歩道橋のキットが欲しいですね(笑)
いろいろなドラマがうまれそうな場所ですからね。

情景師・アラーキー : 2013/06/09 (日) 20:08:40

● MASAKIさん

この歩道橋のキットはアマゾンでなくて他のサイトだとまだ売ってるよ。
F2Cだとリンクが張りやすからね。

これを「非常階段」として1/2位のボリュームで売っていたりと、ミニアートは商売が上手い!

情景師・アラーキー : 2013/06/09 (日) 20:12:10

● MACKさん

記事を書くのは・・・確かに大変です(@~@)

でも文章を書くのはまぁ好きな方なので苦痛ではありません。
制作記事は特にジオラマを作らない人でも「へ〜そんな方法があるんだぁ」と楽しんでもらえればいいと思っています。

僕が第三者として「自分が読んでみたいブログ」を目指していますからね♬

ツカサ : 2013/06/10 (月) 23:24:59

コンパウンドにこんな使い道ががが。メモメモ

ミニアートのキットは、生かすのにセンスと力量が必要で、中級者キラーなところがありますけど・・・

この記事を拝見すると「おおおお、俺も俺も!ヤルー!」ってなります!
チャレンジしなければ力にならないですものねッ!!(`・ω・´)


・・・でも箱を開けた瞬間「orz」ってなったりして。ぁぁ試練だ・・・

情景師・アラーキー : 2013/06/15 (土) 08:18:12

●ツカサさん

ミニアートのキット・・・案ずるより生むが安し。。。

何事も食わず嫌いはダメって事ですよ。
私はしばらくはミニアートのキットだけ作っていてもいいぐらいに今回かなり見直しました。戦車やフィギュアが出て来ない「建物が主役」のキットとして完成させてもいいかもなぁ。。。

ぴろんちょ左衛門之介久 : 2013/06/15 (土) 13:17:03

う~ん、やはり塗装の表現力に脱帽です!

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プロフィール

情景師・アラーキー

Author:情景師・アラーキー
.
.
■ 情景作家
■ 1969年生 居住地:東京・杉並 

「日常にあふれるさりげない光景」を立体化する事が得意なオールラウンドジオラマ作家。昭和ノスタルジーからアニメシーン再現まで製作範囲の守備範囲は無限。むしろ挑んだ事がない題材を与えられると燃えるタイプです。

「生み出すものに魂を込めて作る職人のようにありたい」・・・と願って「情景師」を名乗っています。

<過去の作例活動経歴>
●電撃ホビーマガジン
●電撃スケールマガジン
●モデルグラフィックス
●アーマーモデリング
●モデルカーズ
●パンツァーグラフ
●エクストラマガジン
(スペインの模型雑誌)

<<ジオラマ制作随時承ります>>
(製作事例:CM、テレビ撮影用、展示会用、トイの商品開発用、企業ノベルティー等)
・ジオラマ制作についての相談&質問もお答えします
・展示会等での作品貸し出しもしております。
・TV,雑誌,Web取材等の随時受付中。
<出演事例>
・おはよう日本(NHK)
・めざましTV(フジテレビ)
・タモリ倶楽部(テレビ朝日)
・怒り新党(テレビ朝日)
・情報ライブミヤネ屋(TBS)
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