暗黒の都市・ゴッサムシティー<その3>
先週末に開催されました第52回静岡ホビーショー、そして同時に開催される第24回全国モデラーズクラブ合同展示会は無事に終了しました。
毎年の事ですが楽しかったイベントが終了したばかりの今週は、興奮覚めずに出会った友とネット上で交流をさらに深め合ったり、撮った写真を眺めてみたり、買って来たプラモを積んでみたり・・・(いや、作ろうよ)。
しかし、疲れがジワジワと出てきまして今週末まで乗り切るのがやっと・・・という人も多いと思います。
私もそんなその1人。
開催期間中は同じ倶楽部メンバーからは「まるで実演販売」と比喩されたしゃべりで展示ジオラマを説明し続けておりまして。しかも2日間ず〜と立ちっぱなし。お越しいただいた方へ座ったまま説明するのは失礼かなぁと思いまして、我がサークルの人々は「立ち接客」が基本です!
さて、これがサークルにおいてのゴッサムシティーの展示風景。
ツインメッセの展示会場のほぼ真ん中、大きな通路が交差する角のテーブルだったので非常に目に入る良立地でした。
多くの方に楽しんでいただきました。やはり雑誌発売後という事もあり、ブログの宣伝効果?もあってアーマーモデリング本誌を持って来てくださりサインを求められ。。。。2日の期間中に10名程の方に実施いたしました♬
てへへ。
ブログ+ Facebookをやっていると、ネットを通じて交流が多くなっておりますが直接逢う機会はなかなかありません。しかしこういったイベントでは直に顔をつき合わす大変貴重な機会です。
「荒木さん、想像していたイメージそのままですね」
あはは・・・よく言われます。そうね、書いている文体とあまりギャップがないのが私です(笑)
さて、前回の記事にてお越しいただいた方に 1/35のスケールのペーパークラフトアルミ缶の組み立てセットをプレゼントするとありましたが、用意した50セットはすべてくばり終えました♬
ゴッサムシティーのジオラマの前で「例のもの、例の物」と小声で飛び交うなぞのやり取り。しかも小さな小袋に入ったものをこそこそを手渡しする光景はいや〜あやしかったですね(笑)。こういう遊びすきです♬
もっとも印象に残っているのは、なんと東京からお母さんと2人でいらっしゃった中学生の若きモデラー!
以前から私のブログの読者ということで、私の前で恥ずかしそうに「・・・・例のものありますか」と。
ああああああ!この純粋無垢な少年の人生の中でおそらく初めての「例のもの」という言葉を使わせてしまった!!
す、すみません。その責任は大きいです。。。。しかし、この先の人生においても「例のもの」っていう言葉を使う機会はほぼありませんし、そして「1/35ペーパークラフト」がこっそり出てくる事も100000%ありません(笑)。
中学生も見ている「情景師アラーキーのジオラマでショー」♬・・・身をさらに引き締めて挑みます!。
しかしいい時代ですよね。私が中学生の頃は模型に関する情報量も少ないですし、毎月発売される模型雑誌だけを、まるで穴があく程にながめてテクニックを習得したものです。今は気楽にこうして親子程に歳が離れたモデラー同士交流できるのですからね。
ゴッサムシティーの How to が掲載されている最中なので静岡ホビーショーのレポートはコレにて終了します。
すみませんが他の方もいろいろとホビーショーレポートを書いておりますので検索してみてください。
さて、今回の紹介記事はまずは足元をしっかり固めてからという事もあり、「ジオラマベース」のお話をしたいと思います。
ジオラマベースにおいては木組みの台がオーソドックスな方法に成ります。
これは絵画においては「額縁」にあたる部分で、その作品を演出するにはとても重要なもの。ジオラマ単体の出来が良くてもこのベースを手を抜くと作品が台無しになります(←いや、ギャグではなく:汗)。
言い方を変えればベースの演出によっては作品が数倍も輝くって事ですね。
とかく変化球ばかり投げる私のジオラマベース。そのベース自体も作品の一部と考えておりますので手抜きはありません。今回のホビーショーでも「この台はいったい何??」と注目度が高かったですね。
ゴッザムシティーの荒廃した雰囲気、モノレールの駅のトラス構造体に雰囲気がマッチングした錆びたあやしい鉄の箱のような物の正体は!
これは実は八百屋さんに置かれている折りたたみ式のプラ箱でした!
廃品回収の仕分け箱にも同様の物が使われておりますが、こちらは通気性をアップさせた野菜専用の箱。以前からこの箱の「トラスの部分」がカッコいいなぁと・・・1人スーパーマーケットで熱い視線を送る怪しい男(笑)。
これが普通に市販されてはいません。どうやって手に入れようか。ネット検索したらあっさりと見つかりましたがもう少し安く手に入らないかなぁ。
そこでヤフーオークションで検索してみたら・・・
なんと廃業した八百屋からの放出品?として500円で売られている物を発見、ラッキー!!。
毎回ジオラマに合わせた箱選びはこうやって表には見えないドラマがあるのですよ。
リサイクル販売店やフリーマーケット、アンティークショップなど日頃からマメにまわっています。
このプラスチックは粘りがあり耐久性にすぐれているPP(ポリプロピレン)という素材。しかし丈夫ゆえに当たり前ですが簡単に加工出来ません。。市販されている全てのこれらの BOXが構想ジオラマサイズにジャストサイズになる訳ではなく、どうしても切った貼ったの加工が発生します。
そこで活躍するのは「超音波カッター」です。
最近の模型雑誌でもその名前を聞く機会が多くなりました。
しかし・・・3万円以上する値段に躊躇するモデラーも多いでしょうね。私も「これはいらないなぁ」と思っておりましたが、友人モデラーが買った切っ掛けで思わず衝動買いをしてしまいました!。
(しかも限定販売の赤。これはシャア専用超音波カッターで、おそらく通常のものより3倍早く切れます!:妄想)
普通のプラ素材をカットする場合は振動熱によるめくれが生じて、思っていものとは違いましたが、このような特殊素材やレジンなどのカットにはもの凄く威力を発揮します。
想定していたジオラマサイズにあわせてバラバラにカットした野菜BOX。
今度はそれを結合しなければなりません。しかしPP用の接着剤は売られているものの、確実に接着する方法はありませんのでそれぞれの部品をまるで鉄板の溶接のようにお互いを溶かしながら接着しました。それは半田ごてをつかっています。
見えない場所で部分的にボルトで固定したりもしています。
これが完成した姿。上記の姿よりも随分コンパクトになりましたね。
しかも溶接した跡は本当の鉄板溶接のような雰囲気になっています。
これを塗装すると、ほらいい感じですしょ!。
塗装にはPPを塗装する為のプライマーを下地に塗装しておきます。(アサヒペイント:PPプライマー)
これを塗らないと簡単に剥がれてしまいます。加工もしづらい、塗装も出来ない非常にやっかいな素材なんですよ。
バイクのカウル、ヘルメットの一部、車のバンパーなどPP素材が使われていますのでちゃんと下地塗料があるのです。
缶スプレーで黒を塗装した後に缶スプレーのガンメタルを飛沫が飛ぶようにしてふりかけ塗装します。
そこにパステルの赤茶色とタミヤアクリルのクリアーオレンジを混ぜた色を錆色として部分塗装します。
自分で言うのもなんですが、「錆びている金属の箱」以外には見えない完成度です!!
ちなみに・・・
このプラスチックコンテナを使った作品を作ったのは今回が2回目。
記憶に新しいでしょうがガンダムのホワイトベース内部のジオラマ「眠れる白獅子」で使っています。
この時はシルバーに塗装してホワイトベースの内部フレームの延長のようなイメージでまとめました。
高さがあって凝縮感のある私の好きなジオラマのまとめ方。
ジオラマベースだけでもいろいろな種類や方法があるのですよ。
ジオラマの土台のお話でした。
このジオラマが掲載されているアーマーモデリングは現在はバックナンバーとして購入できます!
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