2012年の幕開け、それは荒波??
2012年最初のブログ。
本年度も「情景師・アラーキーのジオラマでショー」をごひいきによろしくお願いいたします!!
さて、今年の正月は・・・・正月休み明けすぐの1月10日に納品の作例を受けてしまい1月1日から猛ダッシュ制作の幕開けでした(苦笑)。
なぜそんな仕事を受けたの?自分を責めている今日この頃。
だけどそのアイテムは以前から造りたかったもの。
どんなものを造るのか担当編集の方と話を煮詰めている時にものすごく風呂敷を広げてしまうのは毎回の事。
今回も「それって造るの大変じゃないですか?」と心配する編集者側の心配をよそに
「いや絶対におもしろいから造らせて!!」
とお願いしたのは私の方(笑)。
でもそうやって自分への試練をハードルをあげていかないと新しい自分の可能性も広げられないのでこれはチャンスとと捉えようと思って挑んでいます。
し、しかし・・・折角のお正月気分は皆無。
本当に大変。。。。
やはり次回からは「正月明け直ぐの納品は断る!!」。
これを今年からの目標といたします(爆)
さて波乱の荒波の幕開けをむかえた訳ですが、新年のご挨拶代わりのタイトルに使用した写真は去年制作した漫画ワンピースの主人公達の初代海賊船・ゴーイングメリー号ですが、このジオラマの最大の見所「荒波の制作」紹介を棚上げしておりましたので「荒波」話題つながりという事でこの日記で紹介したいと思います。
私のジオラマ作品には透明レジンを使った「水辺の風景」が多いのですが、どれも穏やかな小川や波打ち際の風景でした。
帆船といえば、帆に一杯の風を受け、船体を斜めにしながら荒波を走る勇姿!!
それならば未だチャレンジした事のない「荒波」の造形を造りたい所。
さてその荒波はどうやって造るか??
いつものようにネットで検索して様々な方の作品などを参考にした結果、もっともオーソドックスなやり方は造形用粘土や石膏を使った素材で
波の造形を行い、海色を着色し、仕上げにクリアーをたっぷりと塗るという方法。
しかし、透き通る海の深みをどうしても再現してみたい・・・・
という結果、実行した方法は以下の方法でした。
<油粘土による波の造形>
ウネリの大きい波の造形として選んだ素材は昔懐かし「油粘土」。
幼稚園時代にはイマジネーションの赴くままに造形しまくった思い出の緑色!!
実は原型を作って型取り作業する際には結構使用する油粘土でして、使い慣れているんですね。
主にスプーンやタミヤの調色スティックを使って臨場感のある波を造形します。
<波の型取り>
油粘土で造った波を周囲に牛乳パックを割いて広げたもので土手を造り(防水が効いている紙なので使いやすい)
ドドドッ!とシリコンゴムを流します。
今回はジオラマベースが大きいので2kgを使うという贅沢な型取り。でもあまり厚くは造形出来ませんので
ティッシュを表面に貼付けてシリコンゴムの強度を補完します。
(追記:コメント欄に金子さんが書き込んでくれました少量でのシリコンゴムの型取り方法が優れておりますのでそれをご参考に!!)
シリコンゴムが硬化し、ひっくり返して油粘土をかき出した様子。この粘土のかき出しは結構骨が折れます。
最後は爪楊枝を使って波の造形の奥まで綺麗にほじくりださねばなりません。
メリー号はまだ塗装が完了しておりませんのでゴム型から剥がして、その代わり油粘土で土手を造ります。
このやり方は・・・正直「大失敗」。こ
んなやり方で防水土手が造れる訳ないのですが、そこは
「失敗しそうだけど取りあえずやってみたい!!」と実行してしまうO型なので仕方がありません(爆)
理想は塗装が終った船体をシリコンゴムと一緒に透明レジンを流す方法。波とも一体になりますから後から苦労しなくて済みますね。
WAVEから最近シリコンゴム同士の接着剤が発売されたのでそれを使ってゴム型を改造するのがいいかもしれません。ちなみに私はWAVE製のシリコンゴムを愛用しています。
結果として流した透明レジンがぽたぽたと雨漏りのように流出してしまい、約半分を漏らししてしまって床にレジン水たまりを作ってしまいました(大泣)。幸い塗装やレジン作業だけの専用の制作室は床がコンクリートの打ちっぱなしだったので被害は最小に留まりました。
ぽたっ、ぽたっと垂れるレジンを容器に受け止め、再びゴム型に流すを繰り返し。。。。
レジンが固まるのが先か、すべて流れ出すのが先か・・・ドキドキの作業でした(笑)。
透明レジンは水よりも浸透性が高い為にどんな小さな隙間でも浸透して漏れてしまいます。
透明レジンでの作業はそこを注意しなければなりません。
これが型取り完了したもの。
油粘土で造形したものなので表面の平滑性がないので一見濁って見えますが、高透明な波が出来ています。
この後に表面をルーターで磨いて波面は完成です!!
<波の塗装>
タミヤアクリルのクリアーブルーとクリアーグリーン、そしてクリアーを適当にまぜてそれぞれの比率をかえながら波の裏と表から塗ります。透明な波で作りった利点をここで活かします。
海面は特にクリアーを厚塗りして透明感を増幅させます。
波のキラキラとした反射を再現するために、裏にアルミホイルをクシャクシャにしたものを両面テープで貼付けます。
泡立つ白波の再現にはリキテックスの「ハードジェルメジュウム」を使います。
白く濁った水にはアクリルの白をまぜて、鱗のような波を爪楊枝や古くなった面相筆を使って書きます。
立体的な白泡はAFVのジオラマ用として売られている大理石を粉にしたもの「雪の元」を混ぜて再現。
この素材はキラキラと反射する石素材であるという事と、いつまでも経年変化しないという利点で使ってみました。
爪楊枝をつかってつつくように少しづつ盛り上げていくとかなり立体的な波が造形出来ますよ。
ベースとして使った園芸用のフラワーベースと波の固まりとの境は木工用パテで埋めて、表面に木目を彫り込みます。そうすすれば立体的にうねる波の断面がベースと綺麗に連続して非常に高級感のある仕上がりになります。
私はジオラマベースはなるべく「枠」を造らずにギリギリまで境を無くすのが好き。
手間はかなりかかりますが、太い枠が付いた作品にくらべて、まるで連続している地面をふいに切り取ったような不思議な雰囲気を演出出来ます。
こうして荒波制作を造りました。
年明け最初のブログの割にはかなり濃〜〜〜〜い内容になりましたが、まぁこんな感じで今年も綴っていきます!!
漸く後厄も終った今年は飛躍の年にしたいと思っております。
今年度もよろしくお願いいたします。
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