異形の砲撃手/ジュアッグ (1/144)
1969年生まれの私が小学校の時に放映された「機動戦士ガンダム」。
放映時にバンダイから発売されたガンプラが大ブームを巻き起こしました!
都市部では「シャア専用ザク」を買う為に並んだ小学生の列が将棋倒しになってけが人が出るというニュースがあり、その当時鹿児島に住んでいた私にはまったくピンとこないどこか遠い国の話のような出来事のように思われました。
・・・あらゆる流行がワンテンポ遅れてくる地方都市である鹿児島はもちろんそのガンプラブームもやってきましたが、ちょっとだけ遅れて来ました(笑)。私の友人もそれほど騒いでいる訳でもなく、私もその頃にはタミヤのMMシリーズの戦車やウォーターラインシリーズの艦船、旧日本軍機の長谷川のキットなどの大人向けのプラモを作り倒しておりましたので、初めてみたガンプラ、「モナカキット」は・・・正直「なんだこの子供向けのキットは??」と落胆したのを覚えています。それにTV画面で見たあのカッコイイMSの勇ましさはどこに??
ゆえにそのブームの波をなんとなく静観していたように記憶します。
そのおっとり性格の鹿児島人のガンプラブームの遅れを察したのか、市場では手に入らなくなったシャアザクをなんとわざわざ他県から買いに来た人がいたんです!!。行きつけの文房具屋(地方では模型専門店は少なくてプラモデルの購入先といえばやはり文房具屋)のおばちゃんが、朝起きたら子供が数人シャッターの前で列を作っていて驚いた!という話を自慢げにしてくれたのを覚えております。
そのガンプラブームのさなかに、とある不思議なMSが発売されました。
「ジオン軍試作モビルスーツ」
劇中に登場するMSはほぼ販売し尽くしたバンダイがとうとう「試作」という甘い言葉でTVには登場していないMSを市場に投入した問題作。
試作って言葉には大人の匂いがプンプンして確かに魅力を感じました。
・・・・・が・・・・・・・・・・・
ななななんじゃこりゃぁ!!!!!!
当時小学生だった私でさえまったく理解不能なデザイン。これって一昔前のスーパーロボットの敵デザインじゃない??
完全に子供をだました商品戦略にちょっとイラッとしました(笑)。
・・・・しかし
大人びた私の感覚は実はまったくずれていて、子供達には意外に人気(爆)。
発売すれば売れたガンプラはなんでもいいから投入すれば面白いように売れたのかもしれません。
それにしてもこんなへっぽこ・・・コホン、いや大人的に言えば「個性的な」MSのデザインはいったい????
それまで非常に完成度が高いMSをデザインしてきた大河原邦夫さんはどうしたというのでしょうか?
実はこれらのMSは富野監督自らスケッチしたものだと言う事をご存知でしょうか?
大河原さんはそのラフスケッチをほぼそのままちょっとだけアレンジしてこれらのMSのデザインを完成させたのでした。昔、そのスケッチをどこかの雑誌で見た事があるのですが、たしかに結構ディテールが書いてあるスケッチでしたよ。
・・・・大河原さん、私もデザイナーの端くれ、その時の心情同情いたします(笑)
時は流れて・・・・2011年。
まさかあのジオン軍ビックリどっきりメカ・「ジュアッグ」がアニメで超カッコいい活躍をする事になろうとは誰が想像したでしょうか(いやだれも想像出来ない=倒置法)
これに感化されて、鼻息荒く、10日間でミキシングビルドした作品が今回紹介するジュアッグです。
Model number: MSM-04G
Code name: JUAGG
Unit type: prototype amphibious mobile suit
凶悪ですね〜!!
この斜に構えたこの姿。。。自分で言うのもなんですが、素敵〜♫
これは現在発売されているユニコーン版のジュアッグではなく、旧キットのジュアッグを切った貼ったしたミキシングビルドなんです。だってあの頃まさかリニューアル版が発売されるなんて想像していませんでしたもの。
実はこのジュアッグはこのブログを始める切っ掛けになった記念すべき作品なんです。
それは去年の秋に開催されたガンプラ愛好家の頂上決戦「モデラーズサミット2011」に出品する為に制作したコンペ出品用の作品だったのです。
http://vilex.web.fc2.com/entry.html
おかげさまで上記のサイトでも紹介されているように会場人気投票で大変名誉な第4位をいただき、おそらく準備期間ではだれよりも短くてバタバタ、奇跡の大逆転を果たしたのです!(苦笑)。
まぁ2週間前に出品準備を始める私も悪いんですけど、本当は他に準備していた物がありましたがあまりにも無謀な工作に走ってしまったのでまったく間に合わず、過去に作った作例でごまかそうとしておりました。。。。。
そこである意味天の声が!!
この映像が配信されたのがそんなタイミングだったので早作りのネタとしては最適かなぁと思いまして、ネタ優先だったわけですね(笑)。
初めて参加したモデサミは本当に楽しい一時でした。
名古屋での会場ではガンプラ系モデラーの方々は皆ご自分のブログを持っていましてそこでの交流が盛んだった事を知り「こりゃ時代に乗り遅れまい!」と前からやってみたかったなぁと思っていたブログをその後に始めたという訳です。
時間の都合上、サラリと塗装して汚しもほとんどせずに仕上げていましたので、今回がっつりと汚し塗装を施して漸く満足いく完成状態になりましたのでこちらで紹介いたします。
三連砲が装備された腕は非常に重いだろうということで腕を着きながら歩くゴリラみたいな走行ポーズが似合います。
片腕砲撃シーンもカッコいいですが、ジュアッグはやはり両腕の砲撃が最高!!
今回の汚しはそのほとんどを油絵の具で行ないました。 AFVの世界では数年前からスタンダードになりつつある塗装法ですが、これがしっとりとした錆や雨だれの汚しが出来るんですよ。それにおそらく思っているよりも簡単。
模型用塗料を溶剤で薄めて汚す方法はコントロールが難しくて「汚く」なるのがオチですが、これは失敗のリペアーも簡単なんです。いずれその方法も詳しくこちらで解説します。ジオラマ派、リアル塗装派のモデラーの方は是非押さえておいていい手法だと思います。
この「荒木版ジュアッグ」の一番の改修ポイントはやはり顔。
ジュアッグの何とも言えない目尻下がりのモノアイ窓を切れ長の形に改修。これだけでかなり強そうなMSになりまっせ!
大きな頭はレーダードームでは?という考えの元、現代ガンプラのようなディテールを追加。
制作したものはほとんどがジオラマ化してしまう私ですが、この作品はめずらしくフル可動での完成を目指しました。でも・・・・いろいろな部品を強引に結合して、いちおポリキャップを入れてポージングが固定出来るようにしていますが、スポスポと抜けてしまうのが欠点。ガンプラの世界もいろいろとやってみると奥が深いです。。。
●ガンダムUC版のジュアッグプラモデル↓
●私がいじった旧キット版のジュアッグ↓
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