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初のカプセルトイの企画実現!『ビル裏室外機コレクション』


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11月11日から全国のカプセルベンダーで発売された

『1/20 ビル裏室外機コレクション』

をプロデュースしました!

子供の頃から大好きだったガチャガチャを自分で企画して発売されるこの奇跡よ!!!
しかも「情景師アラーキー」の名前入りですよ!

世の中の「監修」という名の商品は、企画者がいてプロフェッショナルのアドバイスを受けながら製品を作り上げたというイメージがありますが(あくまでも私見です)、この企画はしっかり私が持ち込んで、部品構成を考えて、原型師を手配して、製品塗装サンプルも作り、販促用のチラシのデザインから、中に入っているブックレットまで作り上げている本気の「監修」ですよ!!


発売は静岡の新進気鋭のカプセルトイメーカーのトイズキャビンさんです。
トイズキャビンは私と同じ年齢の山西社長が一人で運営している超小さなメーカーです。
(今は少し増えて3人ほどですがやはりこのこだわりで少人数すぎる!!)

https://toyscabin.com/

2018年にツイッター知り合って、私から企画を持ち込んで開発がスタートしました。

そのつながりも不思議な縁で・・・
四国の高松でジオラマ展を開催した際に、愛媛のカプセルトイの販売メーカーさんが来てくれて、お土産として渡されたのが愛媛限定の道後温泉のガチャ!愛媛のシンボル道後温泉が別売の3つのパーツを組み合わせると1棟が出来上がる建物フィギュア!なんと内部もつくられているんです。

道後温泉ガチャ



このマニアックな商品展開とそのこだわりの出来に驚いて、製造しているメーかーを聞くと、開業したばかりのトイズキャビンという聞きなれないメーカーだと知ったのです。その後、その道後温泉のガチャをベタ褒めTweetしたところ、トイズキャビンさんに早速お礼のメールが来て、それでやりとりが盛り上がった際に、「実は温めているカプセルトイの企画があるのですが…」と企画書を送りつけてこの企画がスタートしたという経緯です。

『「情景師アラーキー」の名前の実力とユニークな視点に期待したい・・・』

なかなかプレッシャーのある言葉でしたが、私もこのチャンスは逃したくありません。以前からおつきあいのある海洋堂さんにはいろんなガチャ企画を持ちかけましたが‥‥面白がってはくれましたが具体的に実現する気配はありませんでした。
(海洋堂の方向性とはマッチしていなかったんだと)


さて、持ち込んだ企画は以前から温めていたアイデア「室外機のカプセルトイ」!

ビルの裏に無数に張り付いているクーラーの室外機のミニチュアをマグネットで冷蔵庫の扉やホワイトボードの上で再現できるという・・・かなりニッチな嗜好に向けてミニチュアトイ。

この企画を思いついた原点は、2019年に発売しました書籍『駄菓子屋の超リアルなジオラマ』で制作した1/24スケールの古い東芝のクーラーの室外機でした。このジオラマではレーザーカットで細かいファンカバーを切り出したプラ板で室外機作りましたが、その可愛さに「これはぜひ完成済みの室外機のミニチュア、できればガチャで作りたい!」と野望が生まれたのでした。

ブログ駄菓子_6



トイズキャビンの山西社長とツイッターで知り合った話の際に売り込みをかけてこの企画書を送りつけたのでした。

室外機コレクション企画書


「面白い!」の鶴の一声で、企画決定!即決できる男は素敵!
こういう方にはついて行くしかありません。

進め方は私に一任されていたので、まずはじめに取り掛かったのは東芝に企画の許可を取ることからスタートしました。
私の企画ではどこの室外機かわからないようななんちゃってデザインにはしたくはなかったので、どうしてもこの許可取りは大切な仕事の一つでした。幸い、私は元東芝のデザイナーでしたので、古巣の人脈を駆使して直結の窓口を紹介してもらえることに。流石にフリーランスのジオラマ作家では、いきなりコネクションのない東芝に「あの〜私フリーのジオラマ作家をしている者ですが・・・」と連絡しても怪しすぎて話がうまく進まない心配があります。

打ち合わせでは、単に企画を説明して「ぜひ許可をお願いします!」ではなく、コラボレーションという形をとり、完成したカプセルトイは通常のカプセル機での販売以外に、東芝キヤリアさんのノベルティーとしても使えることをアピールしてそれを評価していただき順調に話が進みました。

私は家電製品のデザイナーでしたので金型設計の知識がありましたので、出来るだけコストをかけずに効率的に製品化できるパーツ構成やラインナップを決定して、その後原型を作る3DCGのモデラーである秋葉さんにお願いしてデータを作ってもらうところまでの仕事をこなしました。原型ができた後の製造工場(中国)での進行はトイズキャビンの山西社長にバトンを渡して製品試作を待つのみです。

当初の企画ではジオラマに使いやすいサイズを考えて1/24スケールで展開を考えておりました。
しかし3Dプリントでの試作を行うと、カプセルトイとしてはあまりにも小さく、また今回こだわりたかったファンカバーの細かい再現(当初はしっかりと穴をあける計画でした)としての墨入れ塗装がうまく行かないことも考慮して、少しサイズを大きくした1/20
scaleにサイズを変更することにしました。

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並べてみるとそのボリュームは違いますが、十分に1/24 scaleでも使えるサイズです。その証拠に・・・

上記で紹介した駄菓子屋ジオラマの本のために制作した室外機は1/24scaleで制作したはずですが、あとからよく調べてみると1/20scaleほどの大きさで作っていたことが判明!

実際にみても違和感がありませんのでこのスケールで作っても成功すると確信しました。
1/20scaleは模型ファンなら知られているマシーネンクリーガーというSF世界のパワードスーツが活躍する世界のプラモデルのスケールであり、最近はマックスファクトリーで盛んに展開されているスケールでもあります。













‥‥ 調べてみると1/20スケールのプラモデルって各社からかなり発売されていますね。
模型歴が長い方は記憶にあるかと思いますが、今では定番になったカーモデルの標準スケール「1/24」は、昭和の40年〜50年ごろまではモーターライズの走る車プラモが主流だったこともあり、少しサイズの大きな1/20スケールで展開されていました。



肝心なカプセルトイのラインナップですが、東芝のデザインの室外機と少し古いデザイン(レトロタイプ)のデザイン違いの2種類で、それぞれマグネットが装着された壁掛けタイプとおいて飾れる据え置きタイプの計4種類展開です。


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金型のコストを抑えるために正面パーツを東芝とレトロタイプは差し替えとして本体は共通にしています。故にレトロタイプは正式な東芝の監修以外としてTOSHIBAのロゴマークはついていません。モチーフは東芝の古い業務用のデザインをモチーフにしていますので「なんちゃってレトロ東芝タイプ」と言えます(どこのメーカーか分からないデザインでは出したくないという意思がここも発揮されているのです)

そしてこだわりポイントはフロントカバーが外せて中身が見れること!

ミニチュアの利点は普段は見ることができない裏面や背面など360度眺めて観察できることだと考えています。室外機の形状をじっくりと観察できることでより室外機の知識が身に付く「知識系トイ」を目指した結果、中身の再現はマストでした。

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普段は絶対に見ることがない室外機のファン。
実は扇風機と同じではなくコウモリの羽のような形をしているのです。それは騒音を抑えながら低速で回転しても効率よく風量を確保するために工夫されたデザインなのです。メーカー各社でこの形状は様々なデザインがあります。

ファンの右隣にある箱はエアコンの心臓部、冷媒を圧縮するコンプレッサー。本来はカプセル型の薬のような本体に複雑に入り組んだ銅菅に覆われた形状をしていますが、製品では騒音対策のために周囲に吸音材が巻いてありますのでそれを再現した形になっています。

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ここまで内部にこだわったのは実は計画初期の段階ではファンカバーを本物と同じように穴を開けて外からファンが見えるようにする予定だったのです。私は金型的にそんな細かい網目状の部品は無理ではないかと思っていたのですが、トイズキャビンの山西社長が「可能!」と言うので特別な射出ができるメーカーや技術があるのかと思って託しましたが・・・わざわざ金型まで作ったのですが網目状のパーツに全てに溶けたプラスチックは行き届かずに何度トライしても製品化できるレベルにはならず。予定を変更して網目は埋めて溶剤で薄めた塗料を流して穴の影を立体的に再現する「墨入れ」という方法を選択しました。

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この墨入れ技法は、プラモデラーでは定番のディテールを浮かび上がらせる塗装技法なのですが、量産トイでは単なる汚れのようになったり、墨入れが足りなかったり難しい方法なので心配しましたが製品版ではかなり綺麗に色が入りました!


普段見ることができない底面や背面もしっかり作り込みました。
カーモデルの動輪構造がみれる裏面の価値に比べて、室外機の底板をみれたことで喜ぶ人が居るかは・・・・しかし私はこういう点はこだわりたいのです。私が監修していることもそうですが、トイズキャビンが関係しているミニチュアはそういうところまで気をつかっているのが社風ですので。

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今回の企画ではカプセルトイの中に入ったブックレットもしっかりと作り込むのが狙いでした。ラインナップだけが書かれたカタログのようなものではなく、しっかりと室外機の知識が学べるように解説をイラスト入りで作りました!

(ちなみにガチャ機の顔である「台紙」のデザインもすべて私がデザインしています)

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トイズキャビンさんはとても小さな会社故に、大手のカプセルベンダーであるバンダイ、タカラトミーなどと比べると販売量も少なく、ガチャ機も少ないのですが、ハンティングする気持ちで探してみてください!

どうしてもみつからない人はネット通販でセットを買う方法もあります。





汚し塗装をして楽しんでみたり、他のカプセルトイと組み合わせて「オモ写」を楽しんでみたり、いろいろ遊べるトイだと思います。
Twitterでどんな楽しみ方をしているのか検索すると、シルバニアファミリーの家にぴったりなサイズであることもわかりました♬

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自分で生み出したトイは自分で遊び尽くす!!

箱フェチでもある私が生み出した遊び方はこれ!

室外機パッケージ



室外機の出荷状態!
わかる人だけわかるこの状態。
東芝の新入社員研修でけっこうな数を運びましたのでその苦労を思い出します。

これを作れるペーパークラフトに仕上げましたので以下のツイッターにアップした画像をプリントしてお作りください♬


https://twitter.com/arakichi1969/status/1331073728566816769







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※2021年2月11日発売
2015年にジオラマ作家として独立してから5年間に受注した仕事をまとめた写真エッセイ集。今までのジオラマ本のように作り方のHow to 記事も盛り込みながら、それぞれの仕事をどのように受注してアウトプットしたかを綴ったビジネス本として執筆しました。
好きな事を仕事にしたいクリエイター志望の方へのヒントになれば!







※2019年4月10日発売
失われつつある昭和の駄菓子屋を1/24スケールで徹底的に作り込み、その作り方を図面、写真で超解説したジオラマHOW TO 本。和風日本家屋の構造解説でドールハウスや鉄道模型などのジオラマ作りの参考になります!





※2016年8月に発売された私の初のジオラマHow to写真集「作る!超リアルなジオラマ」
イラストと写真を織り交ぜて、ジオラマ作りの考え方や作り方、保存の仕方、写真撮影、SNSでのアピールの仕方など重箱の隅を突くように執筆した本です。現在6刷突入で2万冊突破で好評発売中です!




                 
※2015年に発売された私の初の作品/エッセイ集「凄い!ジオラマ」をカラー写真2倍に増量+本の多さアップで生まれ変えた「凄い!ジオラマ[改]ジオラマ作りの楽しさを文章と写真で楽しめる本です!2018年11月発売



                

                 

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プロフィール

情景師・アラーキー

Author:情景師・アラーキー
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■ 情景作家
■ 1969年生 居住地:東京・杉並 

「日常にあふれるさりげない光景」を立体化する事が得意なオールラウンドジオラマ作家。昭和ノスタルジーからアニメシーン再現まで製作範囲の守備範囲は無限。むしろ挑んだ事がない題材を与えられると燃えるタイプです。

「生み出すものに魂を込めて作る職人のようにありたい」・・・と願って「情景師」を名乗っています。

<過去の作例活動経歴>
●電撃ホビーマガジン
●電撃スケールマガジン
●モデルグラフィックス
●アーマーモデリング
●モデルカーズ
●パンツァーグラフ
●エクストラマガジン
(スペインの模型雑誌)

<<ジオラマ制作随時承ります>>
(製作事例:CM、テレビ撮影用、展示会用、トイの商品開発用、企業ノベルティー等)
・ジオラマ制作についての相談&質問もお答えします
・展示会等での作品貸し出しもしております。
・TV,雑誌,Web取材等の随時受付中。
<出演事例>
・おはよう日本(NHK)
・めざましTV(フジテレビ)
・タモリ倶楽部(テレビ朝日)
・怒り新党(テレビ朝日)
・情報ライブミヤネ屋(TBS)
・まにあマニアル(BS日テレ)
・王様のブランチ(TBS)
・lifeサプリ(BS日テレ)
・経済ビジネスライン(BSNHK)
<雑誌取材事例>
・週刊新潮
・週刊アスキー
・女性自身
・ホットペッパー
・ビーコン

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